バッテリーの取扱方法

バッテリーの寿命

バッテリーには寿命がありますが、使い方によって大きな差が出ますので、寿命を使用回数や時間で示すことは困難です。購入後、一度も使用していなくても、長期間放置しておけば、バッテリーの性能は下がり続け、新品の状態で寿命を迎えることも考えられます。 経験的にバッテリーの寿命は2~5年と言われます。常識的な範囲で、比較的悪条件で使用されて2年、好条件で使用されて5年です。(パルス充電などの特別な対策による延命は十分考えられます。)使用頻度の低い船舶バッテリーは相当な悪条件と言えますので2年以内にダメになるケースも珍しくありません。

バッテリーの寿命を明確に判断することは難しいですが、満充電しても使用に支障をきたすようになればそれが寿命です。 開放型の場合には、バッテリー液の状態から寿命を探ることができます。満充電してもバッテリー液の比重が1.23未満(20度)なら交換時期です。なお、充電直後はバッテリー液の温度が上昇していて比重が低くなりますので注意が必要です(液温 1℃上昇で、比重値が0.0007低下)。バッテリー液の減り方が早くなったり、セルごとの液減り差や比重差(0.05以上)が出てきたりしたら寿命のサインです。

 

 

バッテリーを長持ちさせる秘訣

(1)バッテリー液面はUPPER LEVELを維持する。
基本的にバッテリー液は、UPPER LEVELとLOWER LEVELの間にあればよいのですが、なるべくUPPER LEVELに近い状態を維持するためにこまめな補充をお勧めします。


(2)バッテリーを常に満充電の状態に保つ
放電により生成されるサルフェーションが硬質化するとバッテリーを短命化しますので、なるべく満充電の状態を維持することが望ましいと言えます。長期間使用していないバッテリーなどは、自然放電していますので、定期的に充電することをお勧めします。また、暗電流(自動車、船舶などで、キーを抜いていても消費される電流)の消費を防止するためにマイナス端子を外しておくことも有効です。


(3)完全放電を避ける

ディープサイクルバッテリーであっても、完全放電は避けた方が好ましいです。可能であれば、バッテリー容量の50%を下まわらない範囲で使用することをお勧めします。使用後は速やかに補充電をおこないましょう。

 

バッテリー液に注意!

・バッテリー液に水道水や電解液は厳禁!
 水道水には不純物が含まれているため、放充電に必要な化学反応を阻害する恐れがありますので、補充液は精製水を使用しましょう。また液減りは水分の減少なので、希硫酸の電解液を補充するのもいけません。


・バッテリー液は危険!
バッテリー液は希硫酸です。希釈されているので油断しがちですが、皮膚についたり、目に入ったりすれば危険です。さらに衣服につくと材質によっては穴が開いてしまいます。コットン(綿)素材のTシャツやパンツは穴が開きます。バッテリー液の取り扱いには、細心の注意を払いましょう。

 

暗電流をご存知ですか?

「暗電流」という言葉がありますが、耳にした事はありますか?
自動車用語としては、車のキーをOFFにしても流れている電流のことです。
イメージとしては、テレビのリモコンで電源をOFFにしてもテレビには待機電流が流れている状態やビデオデッキ(今やHDDレコーダー等ですね)の電源をOFFにしていてもデッキの時計が動いている状態と同じです。
自動車の場合は、時計、電装品のバックアップ、セキュリティなど、キーをOFFにしても電気が流れていることを「暗電流」といいます。
この暗電流は、車の装備品や車種ごとに違いますが、おおむね数mA~50mA位が標準的に流れている値です。

暗電流50mA 流れている車両は、A表示に直すと0.05Aとなるので
1時間に消費する電気の容量は、0.05Ah(アンペアアワー)となります。
では、1日で消費する電気容量は、1.2Ah(0.05Ah×24時間)となります。
1週間(7日間)で8.4Ah(1.2Ah×7日)の容量を消費する事となります。

最近の日本車に多く採用されている、品番の46B24は、容量は36Ah(5時間率)となりますので、おおざっぱに計算すると4週間強(約1ヶ月)でほぼ100%放電してしまう計算となります。(実際には、バッテリーの充電状況や容量の計算で前後します)

案外、電気を消費しているのがご理解いただけると思います。
少し旧い車などで、バッテリーを新品に交換してもすぐにあがるケースは、スイッチやリレーのトラブルで多くの暗電流が流れ、電気を消費していることもあります。これは、部品を交換すれば直ります。


また、いろいろな電装品をつけて、きらびやかに車をカスタマイズしても、消費電力や暗電流のことを気にしないがために、バッテリーがすぐあがるケースもあります。これは、バッテリーの容量を考慮して、メンテナンス(補充電等)をする必要があります。
バッテリーの容量には限りがありますので、その車両に見合った容量を選択し、定期的な補充電をすると、バッテリーあがりや充電不足による早期劣化を避ける事ができます。